携帯電話特有の機能を Rails や Rack middleware で利用するためのプラグイン。 以下の機能を備える。
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携帯電話のキャリア判別
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端末位置情報の取得
- GeoKit との連携
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端末製造番号、契約者番号等の取得
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IPアドレスの検証(キャリアが公開しているIPアドレス帯域からのアクセスか判定)
- IPアドレスの検証には jpmobile-ipaddresses が必要です。
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ディスプレイ情報(画面サイズ、ブラウザ画面サイズ、カラー・白黒、色数)の取得
- ディスプレイ情報の取得には jpmobile-terminfo が必要です。
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文字コード変換機能/絵文字のキャリア間相互変換
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メールの送信
- 絵文字と漢字コードの変換
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メールの受信(experimental)
- 絵文字と漢字コードの変換
また Rails 5.0 に以下の機能を追加する
- ビューへの自動振分け
- 位置情報取得などのリンクヘルパーの追加
- セッションIDをフォーム/リンクに付与(Trans SID)
他のバージョンの Rails については Versions : Jpmobile vs Rails を参照。
% gem install jpmobile
% gem install jpmobile-ipaddresses
% gem install jpmobile-terminfo
環境変数 ENV['rack.jpmobile']
にキャリアクラスのインスタンスが格納されています。また Rack::Request#mobile
としても取得可能です。
case request.mobile
when Jpmobile::Mobile::Docomo
# for DoCoMo
when Jpmobile::Mobile::Au
# for au
when Jpmobile::Mobile::Softbank
# for SoftBank
when Jpmobile::Mobile::Willcom
# for Willcom
when Jpmobile::Mobile::Emobile
# for EMOBILE
else
# for PC
end
あるいは
if request.mobile.is_a?(Jpmobile::Mobile::Docomo)
# for DoCoMo
end
<% if request.mobile? %>
携帯電話からのアクセスです。
<% else %>
携帯電話からのアクセスではありません。
<% end %>
<% if request.smart_phone? %>
スマートフォンからのアクセスです。
<% else %>
スマートフォンからのアクセスではありません。
<% end %>
<% if request.tablet? %>
タブレットからのアクセスです。
<% else %>
タブレットからのアクセスではありません。
<% end %>
class PcController < ApplicationController
before_action :redirect_if_mobile
def index
end
private
def redirect_if_mobile
if request.mobile?
pa = params.dup
pa[:controller] = "/mobile"
redirect_to pa
elsif request.smart_phone?
pa = params.dup
pa[:controller] = "/smart_phone"
redirect_to pa
end
end
end
class MobileController < ApplicationController
end
Rack::Request#mobile.position に位置情報が格納されます。
@latitude = request.mobile.position.lat
@longuitude = request.mobile.position.lon
GeoKit との連携
vendor/plugins/geokit以下にGeoKitがインストールされていると、Jpmobile::PositionにGeoKit::Mappableがincludeされる。したがって、
request.mobile.position.distance_to('札幌駅')
とすることで、端末と「札幌駅」との距離を求めることができる。詳細は https://www.rubydoc.info/github/geokit/geokit/master/frames 参照。
端末側から通知されている場合、request.mobile.ident で 契約に固有の識別子もしくは端末の製造番号を取得できる。 両方存在する場合は契約に固有のIDが優先される。
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契約に固有のID (request.mobile.ident_subscriber)
- au: EZ番号(サブスクライバ番号)
- DoCoMo: FOMAカード製造番号
- EMOBILE: EMnet対応端末から通知されるユニークなユーザID
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端末製造番号 (request.mobile.ident_device)
- DoCoMo: 端末製造番号(FOMA, MOVA)
- SoftBank: 製造番号
キャリアが公開しているIPアドレス帯域からのアクセスか判定する。
request.mobile.valid_ip?
ただし jpmobile-ipaddresses がインストールされていないか、スマートフォンの場合は必ずfalseとなる。
request.mobile.display で Jpmobile::Display クラスのインスタンスが返る。
画面幅 <%= request.mobile.display.width %>
画面高さ <%= request.mobile.display.height %>
ただし jpmobile-terminfo がインストールされていない場合はエラーとなるので注意が必要。
jpmobileを読み込むとDoCoMo、Au、SoftBankの絵文字を透過的に扱うことができる。
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Rails の場合は vendor/plugins に配置し、下記の設定を追加することで有効になる。
# Rack middleware を追加するメソッド Rails.application.config.jpmobile.mobile_filter or Jpmobile.config.mobile_filter
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下記の設定を追加することで、
タグの accept-charset が変更される。# <form accept-charset="Shift_JIS" ...> などに変更する Rails.application.config.jpmobile.form_accept_charset_conversion = true or Jpmobile.config.form_accept_charset_conversion = true
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Andriod/iPhone では Google 絵文字や Unicode 6.0 絵文字が使われています。下記の設定を追加すると、互換性をもたせるために3キャリアの絵文字に変換することができます。また表示の変換も可能です。
Rails.application.config.jpmobile.smart_phone_emoticon_compatibility = true or Jpmobile.config.smart_phone_emoticon_compatibility = true
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携帯電話上では特に問題とならない。PCブラウザでテストする際に問題となるためのオプション。
- Sinatra の場合は下記のように指定する。
$LOAD_PATH << './lib/jpmobile/lib' require 'jpmobile' require 'jpmobile/rack' use Jpmobile::Rack::MobileCarrier use Jpmobile::Rack::ParamsFilter use Jpmobile::Rack::Filter get '/' do erb :index end
Rails のみ半角・全角の自動変換フィルターが用意されている。用いるには
ruby class MyController hankaku_filter end
と指定する。またtextareaやhidden/text/passwordのinputタグで半角に変換したくない場合は :input => true
を指定する。このときNokogiriが必要となるため、Gemfileに追記してインストールする必要がある。
ruby class MyController hankaku_filter :input => true end
Jpmobile内では、各キャリアの絵文字はUnicode私的領域上にマッピングされ、管理される。 このとき、DoCoMo、Auは公式サイト記載のマッピングが使用される。 ただしSoftBankはAuとの重複を避けるため、公式のマッピングに0x1000加算しU+F001以降に割り当てる。 テンプレート内ではUTF-8でエンコードするか、数値文字参照の&#xHHHH;形式で指定する。
絵文字は送出時に内蔵の変換表に基づいて変換され、携帯電話のエンコーディングにあわせて送出される。 携帯電話から受信した絵文字は上記マッピングに基づいてUTF-8でparamsに渡される。
- DoCoMo、Auとの通信時にはShift_JIS、SoftBankとの通信時にはUTF-8が使用される。
- :hankaku=>true指定時は、カタカナは半角カナに変換されて送出される。携帯電話から送られた半角カナは全角カナに変換される。
- 絵文字はキャリアにあわせて変換されて送出される。
- 携帯電話からの絵文字はUnicode私的領域にマップされ、UTF-8でparamsに格納される。
ビューの自動振り分けを行うには、以下の設定が必要です。
class ApplicationController < ActionController::Base
include Jpmobile::ViewSelector
end
DoCoMo携帯電話からアクセスすると、
- index_mobile_docomo.html.erb
- index_mobile.html.erb
- index.html.erb
の順でテンプレートを検索し、最初に見付かったテンプレートが利用される。 Auの場合は、index_mobile_au.html.erb、Softbankの場合はindex_mobile_softbank.html.erbが最初に 検索される。
またiPhoneからアクセスすると、
- index_smart_phone_iphone.html.erb
- index_smart_phone.html.erb
- index.html.erb
の順でテンプレートを検索する。 Androidの場合はindex_smart_phone_android.html.erb、Windows Phoneの場合はindex_smart_phone_windows_phone.html.erbが最初に検索される。
自動振り分けを無効化するには、アクションにおいて以下のように設定する
def index
disable_mobile_view!
end
Railsでは、アクション名に対応するテンプレートが存在する場合、アクション用のメソッド定義を省略できる。
しかし、端末向けテンプレートしか存在しないアクションの場合、jpmobileではメソッド定義を省略することを許していない。
class MyController < ApplicationController
# app/views/my/index_smart_phone.html.erb がある場合でも、次のメソッド定義は必須。
def index
end
end
次のように設定を加えると、これを省略できるようになる。
class MyController < ApplicationController
include Jpmobile::MethodLessActionSupport
end
以下のようなコードで、端末に位置情報を要求するリンクを出力する。
<%= get_position_link_to("位置情報を取得する", :action=>:gps) %>
class MyController
trans_sid
end
class MyController
trans_sid :always
end
trans_sid 機能を使う場合には、cookie session store を使用することができず、 active_record_storeのgemパッケージが必要です。 また Rails 5.0 では Cookie が使える場合にはそちらが優先されてしまうため、:always を指定した場合に問題になる場合があります。 trans_sid を使用する際には、例えば config/initializers/session_store.rb で
Rails.application.config.session_store :active_record_store
Rails.application.config.session_options = {:cookie_only => false}
として active_record_store を使用するように設定し、:cookie_only => false として Cookie を優先しないように設定します。 このとき ApplicationController において protect_from_forgery の :secret を指定するか、 あるいは protect_from_forgery を解除する必要があるでしょう。
また、
link_to "hoge", "/controller/action/id"
のようにリンク先を直接指定するとセッションIDは付加されません。
link_to "hoge", :controller => "controller", :action => "action", :id => "id"
のように指定する必要があります。
メールにて絵文字や漢字コードの変換、ビューの自動振り分けを行なうには Jpmobile::Mailer::Base を使う。
class MobileMailer < Jpmobile::Mailer::Base
default :from => "[email protected]"
def registration(to)
mail(:to => to)
end
def receive(email)
email
end
end
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デフォルトで ISO-2022-JP エンコードで送信
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docomo/SoftBank には Shift_JIS で送信
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au は ISO-2022-JP エンコードで送信
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ビューやレイアウトの自動振り分け
- docomo であれば app/views/mobile_mailer/registration_mobile_docomo.html.erb など
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受信に関しては、docomo/SoftBank でテストできていないため、実験版とします。
- テストして問題あれば随時報告してください。
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オプションに :decorated => true を追加すると、各キャリアのデコメに適したフォーマットで送信します。
- ただし docomo/SoftBank でテスト出来ていないため、実験版とします。
jpmobileの開発に関しては こちら へ
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Shin-ichiro OGAWA [email protected], Yoji Shidara [email protected]